2012年2月29日水曜日

30代後半SIerの転職 脚本編 2

面接では、転職動機とA社を選んだ理由について、様々な立場の面接官から繰り返し聞かれました。
 いくら素晴らしい業務経験をアピールしても、これらに説得力が無ければ、採用されることはまず無いでしょう。

 動機については、前向きな理由が求められます。「今が厭だから」ではなく「A社が良いから」でなくてはなりません。
 いちばん簡単で説得力があるのは、「本当はxxxがやりたいけど、今の会社ではやっていない。だからA社でxxxをやりたい」です。
 注意点としては、「やりたいこと」が今までの自分のキャリアと一貫性があることです。
 ITエンジニアが板前になりたい、とかだと、それはそれで相手を納得させる理由が必要になります。

 私の場合だと、ベンダーからユーザーへの転向なので、第一感として以下のようなネタが考えつきます。
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・ベンダーは、基本的に受注した仕事をやるに留まる。もちろん、100のことを言われたら120にして返すつもりで仕事をしているが、ユーザーの立場であれば、もっと上流の企画段階から主体的にシステムに関われると考えている。
・ベンダーとして仕事をしていると、どうしても案件全体が見えない。案件の全てを把握し、お客様とA社にとってのメリットを理解した上で、当事者意識をもって仕事をしたい。
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 基本的にはこんな感じで良いのですが、私の場合、致命的な問題がありました。
 私の今の勤務先はSIerの中でも大手であり、コンサルやアウトソーシング等も手がけているため、A社に転職しなくても上記の仕事ができるのです。
 A社の面接官もそれを知っている筈なので、当然、突っ込んでくるでしょう。

 それに対して私が考えた回答は、以下の通りです。
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・確かにその通り。
・自分は今、金融のシステム基盤を担当しているが、これは自社の中でも厳しい業務であり、なかなかつとまる人間がいないらしい。
・しかし、自分は10年近く、特に障害を起こしたりお客様からクレームをもらったりすることなくつとめている。
・上流の仕事への異動を希望しているが、おそらくこのような状況から、会社としても私を異動させることは難しいのかもしれない。
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 これで、突っ込みポイントを、むしろ自己アピールに変えることができます。

 さて、次はA社を選んだ理由です。

2012年2月28日火曜日

30代後半SIerの転職 脚本編 1

既に2社に応募し、いずれも1次面接で落ちている私としては、面接対策も万全にしたいところです。
 応募先 (以下、A社) の面接の合格は、私とエージェントの共通の利益ですし、ここは、プロであるエージェントの見識を全面的に頼りたいと思います。

 とは言え、基本は自分で考え抜いてネタを作り込まねばなりません。
 まずは、たたき台の作成です。
 Q&Aの想定問答集を作り、エージェントにレビューしてもらいます。
 項目は、以下の通り考えました。
・自己紹介
・転職動機
・A社を選んだ理由
・自分の強み、弱み
・性格的な長所、短所
・仕事上で苦労したこと
・仕事上で工夫し、うまくいったこと
・A社への質問事項

 仕事関連の話は、今までの経験を思い出して整理しておけばOKです。
 ちなみに、全て事実を語る必要はありません。誇張したり、本当はできなかったことを成功したと言っても、ばれなければ良いのです。

 嘘ついていいなら簡単じゃん、と思われるかもしれません。
 しかし、この「ばれない嘘」というのはとても難しいです。
 面接官は人事や業務のプロなので、具体的な突っ込みが次々と寄せられるでしょう。そして、破綻の無い回答のため、ちょっとした嘘をつくのにも、膨大なシナリオを練り込まねばならないのです。
 当然ながら、「あ、こいつ嘘ついてるな」と思われた時点で終了です。

 先方への質問事項は、複数用意しておく方が良いでしょう。
 内容は、面接官の立場に応じて考えます。相手が人事担当なら評価制度や社風について、業務担当なら実務についての質問が必要です。
 さらに、どのような回答が返ってきたとしても、「それなら私がxxxした経験が活かせそうです」のような反応ができるよう準備すればベストですが、そこまでは必須ではないでしょう。

 問題は、転職動機と、A社を選んだ理由です。

2012年2月26日日曜日

30代後半SIerの転職 情報収集編

今回応募する会社 (以下、A社) について、実際どのような会社なのか調査せねばなりません。
 知人がA社やA社の同業者に勤務していれば理想的ですが、残念ながらそのような伝手はありませんでした。
 したがって、ひたすらネットで調査です。

 まずは2ch。専門板にA社のスレがありますが、1ヶ月に数件程度の書き込みしかありません。
 さらに、内容はほとんど細かい愚痴ばかりで、仕事内容や会社の空気が見えてくるものではありませんでした。

 そこで、企業情報サイトをいくつかあたりました。
 Vorkersキャリコネ等です。

 いずれのサイトでも、まず現在の勤務先に関する情報を登録しないと、全ての情報にアクセスできません。
 匿名サイトなので、躊躇せず本音と実情をゴリゴリと書き込みました。
 そしてA社に関する情報を閲覧できるようになったものの、こちらも情報はかなり少ないです。
 さすがに2chよりは実のある情報が得られたものの、絶対数が少ないと、偏った意見ばかりを目にしているのではないか、という不安が残ります。

 ともあれ得られた情報をまとめると、以下のような傾向がありました。
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・社風はまったり、経営は安定。
・給与や福利厚生はあまり良くない。
・大手銀行の子会社なので、天下りの温床であり、プロパーはほとんど出世できない。
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 転職の目的は給料UPや出世ではないので、待遇面はそれほど気にしません。
 もちろん、家族にあまり貧しい思いをさせるわけにもいきませんので、限度はありますが。
 それよりも、安定傾向が強いことは大きな魅力でした。

 ただし、先述の通り情報の絶対量が少ない上、どうもA社の情報を書き込んでいるA社社員はいずれも事務方のようで、私が転職しようとしているIT部門に関するエピソードは皆無です。

 まあ、ネットの情報の傾向として、悪い評判は積極的に流れますが、良い評判は必ずしも表に出てこない感があります。
 そう考えると、いわゆるブラック的な要素が全く見られないという時点で、A社が良い会社である可能性は高めであると言えるかもしれません。

 いずれにせよ憶測混じりであり、人生の大いなる決断の判断材料としては、いかにも頼りないです。
 実のところ、結局、未だに「ほんとにこれで良かったのか」という懊悩は続いています。

2012年2月25日土曜日

30代後半SIerの転職 復活編

エージェントからは、そこそこ条件に合う求人を多数紹介してもらいました。
 しかし、詳細をよくよく確認すると、要求されている経歴が微妙にミスマッチだったり、現在の勤め先以上に激務不安定と評判の会社だったりで、これは、という求人がなかなか見つかりません。

 今にして思えば、練習も兼ねて、希望と多少違う程度の会社には積極的に応募した方が良かったのかもしれません。
 ただ、自分の場合、どうしても今まさに新たな職を見つけねばならないというわけでもないので、ある意味、大上段に構えていたところがあったと思います。
 そういう点では、恵まれた状況での転職活動でした。

 1ヶ月ほどスルーの日々が続き、ついに、大手銀行系列某社のシステム担当者の求人に申し込みました。
 正直、聞いたことのない会社だったのですが、ディスクロージャー等を見るに、経営基盤がしっかりして、かつ、良い面で日本的な会社のように思われました。

 ここから、面接対策と会社に関する調査のスタートです。
 主に、前者はエージェントから、後者はネットから情報を得ていくことになります。

2012年2月23日木曜日

30代後半SIerの転職 再起動編

敗北に打ちのめされたままで終わるわけにはいきません。
 初心に返り、転職サイトへの登録から始めることにしました。

 いくつかの転職サイトへ、これまでの転職活動の中で作成した職務経歴書を登録。
 程なく、リクルートエージェントから担当者がアサインされた旨の連絡が来ました。

 まずは担当エージェントと電話で会話です。
 本音ベースの転職動機と、これまでの転職活動の失敗談を説明しました。
 そして、それを元に、現在の転職市場の傾向と今後の進め方についてアドバイスをもらいました。

 先方の説明は理路整然としており、例えば、公務員は昨今の状況を考えると長期的雇用安定は期待できない等、納得させられることしきりです。
 しかし、彼らにとって私は商材でもあります。
 私の人生ではなく、彼らの会社の利益を第一に行動する筈なのです。
 いちいち全ての言動を疑っていてはきりがないので、基本的にはエージェントのアドバイスに従って行動しますが、選択の結果の責任は全て自分に降りかかってくることを常に意識すべきだとも考えました。

 かくして、転職活動を仕切り直したのが昨年の11月頃。
 現在の業務は3月末で一区切りつくので、4/1付けでの転職を目標とします。

2012年2月22日水曜日

30代後半SIerの転職 挫折編

正直、最初は転職を安易に考えていました。
 確かに年齢面では不利ですが、学歴はまあまあですし、職務経歴はかなり豪華な部類に入ります。
 むしろ引く手あまたなんじゃね?くらいに考えていました。

 まず挑戦したのは、公務員試験。
 雇用安定を志向する以上、最初に公務員の門をたたくのは当然の流れです。
 市販の参考書で1ヶ月程度勉強した結果、教養試験には合格しましたが、小論文で落ちてしまいました。
 年齢制限の緩い自治体の試験は応募者が殺到するため、かなりの時間をかけて論文対策を練り込まないと、呆気なく落ちてしまうようです。
 職務経歴云々以前に、門前払いされてしまいました。
 公務員は一朝一夕で合格しそうにないので、ひとまず保留とします。

 民間にも雇用の安定している企業はある筈です。
 そして学生時代の先輩のアドバイスなど受けた結果、SIerからの脱却という方針も撤回することにしました。
 よくよく考えてみれば、高年齢での転職なのですから、今までのキャリアを伸ばす方向でないと箸にも棒にもかかりそうにありませんので。

 同業のSIerの門を2社ほど叩きました。
 これは今までの豪華職歴が最大限に活きる筈なので、内定確実でしょう。
 念には念を入れて、面接対策も、ネットの情報等を参考に練り込んだ上でのエントリーです。万が一にも失敗はありますまい。

 結果、2社とも1次面接で終了でした。
 …え、俺もしかして駄目なの?
 今更のように焦燥がつのります。

2012年2月21日火曜日

30代後半SIerの転職 立志編

私は、業界大手と言われるSIerに勤めています。
 給与、福利厚生、ワーク・ライフバランス、仕事のやりがい等、現時点での職務や待遇には特に不満はありません。
 むしろ、この業界にしては恵まれている部類に入ると思います。

 ただし、あくまでそれは「現時点では」の話。
 今までの傾向を見るに、上位マネージャーの「仲良しグループ」に入れないと、50代、下手したら40代で適当な理由をつけられてクビになる危険性が高かったりします。
 増して、この数年、会社の売り上げは右肩下がりが続いています。
 売り上げと会社規模のミスマッチが拡大すれば、当然、大規模な人員整理が発生する確率も高くなります。

 また、そもそも、IT関連の案件は、長期的には縮小傾向に入っていくのではないかと個人的には考えます。
 そうした情勢でIT技術者として生活していくためには、SIerではなくユーザーの立場で地歩を固める方が、より安全性が高い気がします。

 …みたいなことをこの数年、悶々と考えていました。
 とにかく、自分と家族の人生を担保するため、定年までの雇用を確保せねばなりません。
 要は、「一か八か今の会社にしがみつき続ける」か「より雇用安定性の高そうな会社へ転職する」かの二択です。
 そして、いくら情報を集めて思案を繰り返したところで、正解がどちらかなのかは、10年、20年経たないとわかりません。

 ただし、確実に言えることが一つ。
 現在30代後半の私には、転職という選択肢をとるための時間はほとんど残されていないのです。
 おそらく今が転職のラストチャンスです。
 5年後、10年後に転職したい、あるいは転職せざるを得ない状況になっても、もはや好条件を望める立場にはないでしょう。

 結局、確信は持てないまでも、どうしようもない不安に駆られて、転職活動を始めたのが昨年の夏頃でした。

2012年2月20日月曜日

気分一新

昨年後半から人生設計のやり直しを進めていましたが、やっと結実しました。

 4/1付けで転職します。

 おっさんの転職活動は思ったより厳しいものでしたが、体験談とかぼちぼち書いてみたいと思います。